「見えもしない“明日”を信じろって?ありもしない“未来”を思い描けって?俺、死んじゃうのに?」
「そん、な……」
「ねぇ、なっちゃん。………なっちゃんに、俺のなにが分かるんだよ」
まるで、胸をやりでつつかれたような痛みだった。
苦しくて苦しくて、なつは必死に涙を堪える。
「自分の力じゃ立てなくなって、歩けなくなって。呼吸も弱くなって、話せなくなって。その恐怖が、なっちゃんに分かる?」
「……っ」
「当たり前が、当たり前じゃなくなるんだよ。なっちゃん、考えたことある?」
目の前で顔を歪めながら、でも諦めたようにふっと微笑んだあおちゃん。
……そこまで言われて、なつはやっと気付いた。
バカだね、なつ。
あおちゃんの本当の気持ちを知ろうともせずに、“生きる希望を持て”だなんて。
本当、無神経だよね。
「……ごめん」
どんなに背伸びをしても、大人っぽい格好をしてみても。
なつはまだ小学生だから、自分のことしか考えられなくて。