ああ、もう無理だ。
そう思った時にはもう遅くて、なつの瞳からは大量の涙がポタポタと流れ落ちていた。
「今まであおちゃんは、なつのことをそういう目で見てたの……?」
「え……?」
「なつが、“病気のあおちゃん”と接してると思ってたの……?」
なつのその言葉に、あおちゃんはハッとしたように目を見開く。
「あおちゃんは、バカだよ……」
「……」
「大バカだよ……っ」
ねぇ、なんで?
なんで分かってくれないの?
「なつは今まで、あおちゃんを“病気だから”って目で見たことはないよ……?」
だってね、あおちゃん。
あおちゃんは、生きてるじゃん。
なつたちと同じように、息をして毎日を過ごしてるじゃん。
確かに、なつたちに比べてあおちゃんはできることが少ない。
“心臓病だから”って理由で、できることが制限されてる。
周りからだって、“心臓病の子”って思われて、レッテルを貼られることもたくさんあると思う。
………でもね?
「あおちゃんは、あおちゃんじゃん……っ」
なつは、そう思う。
たとえ心臓病という病気を持ってても、あおちゃんはあおちゃん。
なつたちと何も変わらない。