なつの頭の中は、あおちゃんが今放った言葉でいっぱいいっぱいだった。


………なに、それ。


「……どういう、意味……?」

「俺、心臓病でしょ? 小さい頃からドナー登録してるけど、まだドナーが見つからなくて……」

「……ん」

「やっぱり、難しいみたい。何万人もいるドナー登録者から俺が選ばれるのは」


まるですべてを諦めたように、涙ながらに言葉を紡ぐあおちゃん。


なつはきっと今、ひどい顔をしてるだろう。


あおちゃんはなつを見ると、自嘲気味に微笑んだ。


「このなっちゃんに対する想いもね、言うつもりはなかったんだ。ずっと、俺の中だけに閉じ込めておくつもりだった」

「……だから、なつのことを…?」

「そう。だって病気の俺と付き合っても、なっちゃんは幸せになれないでしょ? どうせ俺、死んじゃうんだもん。なっちゃんの前から、いなくなっちゃうんだもん」


目の前のあおちゃんの顔が、だんだんと霞んでいく。