でも、そんななつの緊張をゆっくりほぐすかのように、両腕でなつをぎゅっと包み込んだあおちゃん。
「………なっちゃん」
耳元で囁かれるように呼ばれたなつの名前は、弱々しく揺れていて。
あおちゃん……?
「どうしたの……?」
心配になったなつは、あおちゃんの顔を見ようと、両手であおちゃんの肩をグッと押す。
「……っ、え……?」
なつの瞳に映された光景に、一瞬息をすることさえ忘れた。
だって、あおちゃんが泣いていたから。
いつもは無邪気にキラキラ輝いているあおちゃんの瞳。
その瞳が今日は涙に濡れ、瞳から流れる雫が悲しげにポタポタと砂浜に滴り落ちていく。
「どうしたの………?」
「……っ、なっちゃ……」
「ん……?」
あおちゃんの泣き顔を見たのは今日が初めてで、なつはどうしたらいいか分からず戸惑ってしまう。
「俺……」
あおちゃんが、うわごとのようにポツリと呟いた。
「俺……きっとね、なっちゃんを幸せにできない……」
目の前のあおちゃんは、本当に苦しそうに言葉を絞り出す。