「なっちゃんはさ、俺たちが初めて出会った日のこと、覚えてる?」

「……忘れるわけないじゃん。全部全部、覚えてるよ」


なつがそう言えば、あおちゃんの表情が少しだけやわらいだ。


でも、本当にそうなんだよ?


あおちゃんとの出会いを、なつが忘れることなんてきっとこの先、一生ない。


なぜだか分からないけど、なつはそう言い切れるような気がした。


「俺の初恋は、きっとその時。なっちゃんの笑顔を見た瞬間に、幼いながらに俺は“この子が好きだな”って、そう思ったんだ」

「……なんか、恥ずかしいね」


照れくさくなったなつは、右手で少し前髪を整える仕草をした。


「実は俺も、ちょっぴり恥ずかしいや」


鼻を人差し指でかきながら優しく笑うあおちゃんに、なつもつられて笑う。