「さっきのが、俺の本当の気持ちだよ」
「う、そだぁ……」
「嘘じゃない。俺ね、ずっとずっと、なっちゃんのことが好きだったんだ」
波の音と、潮風が木を煽る音だけが微かに聞こえてくる。
なつの目の前に姿を現したこの人は、さっきと同じ台詞をもう一度繰り返す。
『俺、なっちゃんが好きだよ』
なつの大好き人………あおちゃんは、さっき確かになつにそう言った。
急すぎて、頭の中が空っぽになったみたいに真っ白で。
体が硬直したみたいに、動かなくて。
クラスのみんなと約束してたはずなのに、なんであおちゃんだけしかいないのかとか、前なつのことをフったくせに、なんで今更告白してくるのかとか。
意味の分からないことだらけで、なつの頭は今にも破裂してしまいそう。
まばたきをすることさえ忘れてしまっている、そんななつを見たあおちゃんは、少し悲しげに目を伏せる。