みんなと学校で別れてから、1時間と30分。


海の近くまできたなつは、お母さんが買ってくれた花柄の腕時計に目を移す。


うん、ちょうど5時だ。


なつはひとりで頷くと、もう近くまで迫っている海をめがけて一直線に走りだした。


「はぁっ、はぁっ」


結構全力で走ったからかな。


息が詰まって、胸がすごく苦しいや。


なつは胸を片手で押さえると、くるくると辺りを見渡す。


まだみんなきてないのかな?


5時にきてって言ったくせに、全然それらしい人影が見えないんだけど。


「もうっ、なんだよ、みんなして」


なんて、ひとりで呟いてみるけど、返事なんて返ってきやしない。


なつは履いていたスニーカーを脱いで手に持つと、真っ白な砂浜に足を踏み入れた。


───でも、その時。