「菜摘、起きてたのね……。あ、もしかしたらお母さんが起こしちゃったかしら」


お母さんが部屋の扉を開けたとたん、まだぼんやりとしている部屋の中に、お母さんの寂しそうな笑みが見えた。


……ああ、なつはなんでこんなにも勘が鋭いんだろう。


全部、分かっちゃうんだろう。


お母さんの顔を見た瞬間に、気づいちゃったんだ。


「あおちゃんに、なにかあったの……?」


なつがそう問うと、お母さんはなつから視線をそらし、一回だけ頷いた。


心拍数が、一気に上がる。


「あおちゃん……っ、大丈夫なんでしょ……っ?」


お母さんの肩をつかんで、なつは勢いのまま、両手で肩を揺さぶった。