誰もいない静かな廊下に、なつの足音だけが聞こえる。


「……あ、あった。確かここの部屋だったよね……」


あおちゃんの病室を出て右にある、長い廊下。


その廊下を少し歩けば、ナースステーション。


そしてそれよりさらに奥に歩いた、一番奥の角にある小さな部屋。


ドアに近づきこっそりと耳を澄ますと、なつの予想した通り、部屋の中からはあおちゃんのお父さんとお母さんの声。


そしてもうひとり、知らない男の人の声。


多分だけど、あおちゃんの主治医の先生だと思う。