再び腕時計を確認する。
時刻は、午後七時五分前を示していた。
かじかむ手をコートのポケットに突っ込んで、広場をボーッと眺めていた。
すると、さっきの若いカップルが、スクランブル交差点を渡って、こっちに歩いてくるのが見えた。
茶髪の若そうな彼と、外国人の血が混じってそうな高校生くらいの彼女の組み合わせ。
彼らはイルミネーションを見上げられる位置に立って、何やら話している。
…あ、彼女の方が背伸びして、彼にチューしてる。
良いな、羨ましい。
「ごめん! 遅くなった!!」
その声に振り向くと、すぐ横に愛川が立っていた。
多少疲れてはいるみたいだけど、どうやら元気ではあるみたい。
あまりにも愛川が近くで、俺を見つめて必死に謝ってくるから、俺は照れくさくて愛川を見れなかった。
愛川には悪いけど。
必然的に、さっきの若そうなカップルが視界に入る。
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