愛川自身の状態と、店の閉店時間と。
俺は色々と心配になったが、電車に乗る愛川に電話するのはやめた。

まだC駅に居るのなら、駅はうるさいから上手く会話出来ないだろう。

電車に乗ってしまっているなら、電話に出るのはマナー的に困難な筈だし。



俺は気を紛らわす為に、スマホのゲームアプリを立ち上げる。

しかし、寒さで指がかじかんで、上手くスマホを操作する事が出来ない。

ろくなスコアを出せずにゲームが終わり、腕時計で時間を確認して、愛川からのメールが来てないか確認して、またゲームをする。

そんな事を、何回も何回も繰り返す。
ゲームが終わって、メールを確認する度に、電話したい気持ちを我慢する。


最初の約束の時間から四十分が過ぎた頃、またゲームが終わって、俺はメールを確認する。

すると愛川からのメールが来ていて、“電車がようやく動き出したよ。急行で行く!”と書いてあった。

俺は手が冷えすぎて、ついにゲームを続ける事を断念した。




.