久しぶりに心ちゃんの社に泊まった。


「……心ちゃん。また、掃除してないでしょう?」


埃っぽい。


と、いうか蜘蛛の巣があちこちに。


「えー。掃除嫌いー」


「我が儘、言わないの」


むー、と頬を膨らませた心ちゃんはすぐに目を瞑ってなにかを念じる。


すぐに、社が綺麗に。


っていうか、模様替えもされちゃう。


イメージの具現化。


物凄く高度な魔法。


私だったら何日かかることやら。


一瞬、目を瞑っただけなのに。


「心ちゃん、無理しちゃやだよ?」


「べぇーっだ。無理してぶっ倒れて僕んとこ来なかった鈴ちゃんには言われたくないね」


う゛、正論。


「それに、鈴ちゃんがくれたお薬はまだ残ってるからさ」


くいっと何かを引き寄せる真似をした心ちゃんの手のひらに現れたのは小瓶。


その中には青い、ビー玉のような球体が入っている。


それは、私の涙の結晶。


せいぜい心ちゃんの病の進行速度を遅くするぐらいしか出来ないけど。