心ちゃんは耐えきって見せた。


でも。


その時には手遅れで心ちゃんの周りには人が重なって倒れていた。


私の背中にもその時の傷痕がくっきりと残っている。


そして、心ちゃんの身体は十歳で成長を止めた。


汐姉様と同じ金髪は白く脱色し。


ブルーだった瞳は赤く濁った。


その小さな身体には常人では考えられない量の魔力が詰まっている。


その力は着実に身体を蝕み、彼女は私の涙なしでは生きて行けない。


人魚の涙は万能薬。


ぎゅうっと抱き寄せた身体は折れそうに細い。


それでも彼女は笑う。


にっこりと十歳の幼い笑顔を浮かべる。


「大好きだよ、鈴ちゃん」


「うん。私も」