「ハル…っ!」


階段をかけあがってくるりょうくん。


「りょうくんっ」


はぁはぁと息を切らすりょうくんに
申し訳なくなる。


「紙…読んだ?」


「うんっ、わたしもりょうくんとお花見したい!」


私がそういった瞬間
りょうくんの切れ長の目が大きく見開かれる。


「ほんと…に!?よっしゃぁぁ」


子供みたいに喜ぶりょうくんをみて
私まで嬉しくなる。


「じゃあ明日の放課後なっ!」


りょうくんは嬉しそうに微笑んだ。


「うんっ、楽しみだね!」


りょうくんは大きく頷くと


一瞬どこか遠くを見つめた。


「りょうくん…?」


「…あ、ごめん…っ、ありがとな!」


走って去っていく


りょうくんの後ろ姿に


「どういたしまして」と


私は声をかけた。




思い返せばこの時も
君は私にヒントをくれてた…。