空が赤から紫に変わる頃、ひぐらしがさんさんと鳴いている。 お盆が過ぎた時期外れの墓地に一人の青年がいる。 青年は《荒川家之墓》と書かれた墓石の前にかが見込んでいた。 「一年ぶりだな兄貴‥」 カチッ そっとタバコに火をつけ供える。 黙祷。 一人でたたずむ青年の背中には少し悲しみが感じ取れた。 ただその背中はとても大きく感じられた…‥