料理部部長の北条の人気は絶大で、彼を目当てに料理部に入る女子も少なくないらしい。

しかも、北条は部活中料理は作らずに指導に徹していて、彼の手料理を食べたくて入った部員たちは眈々と機会を狙っているらしいのだ。

「別にわたしがトクベツってわけじゃないだろうに」

本当にそうだ。ただ、たまたま部活中では料理を作らなくて、たまたまわたしが和菓子を食べたことがなかったから、たまたま毎日のように試作品を持ってくるのだ。

たまたまなのだ…絶対に。