「うわ、意外」 思わず口に出た言葉に北条はすこし笑う。 「よく言われる、それ。うち、家が和菓子屋だからさ。好きなんだよね、りょーり」 「へぇ、和菓子?食べたことないや」 「じゃあ今度持ってきてやるよ、俺が作った試作品」 翌日、彼は本当に和菓子を持ってきて、わたしが口に入れるのを少し不安そうに、でも期待を込めて見ていた。 「…おいしい」 思わずそう言うと、北条はこれ以上ないってくらい目尻を下げて微笑んだ。