「秀矢?」
「もう泣くなよ。そんな奴なんかのために泣くな。」
そう言って、秀矢は抱きしめる力を強くした。
その温もりは小さい頃と何も変わってなくて。
それがとても心地よかった。
誰より安心するんだ。
秀矢はいつもこうしてくれていた。
小さい頃からあたしがここで泣いてるとき、秀矢はいつも隣にいた。
こうやって抱きしめてくれていた。
まぁもちろん、小さい頃の話だけどね。
だけど正直、秀矢の温もりにいつも助けられていた。
救われていた。
それはまるで、あたしの冷えた心を溶かしていくようだった...。
「...俺なら、こんな風にお前を泣かせたりしない。」
突然、秀矢が言う。
「え?」
秀矢の言葉の意味が分からなかった。