寝ている事なんてお構いなしなのか


「ほら、上がれ」


「失礼します・・」


普通の声の音量で話す男に

私だけが小声になってしまっているという
変な光景がある。


廊下をまっすぐ進んだ突き当りの部屋が、男の部屋らしい・・・


部屋の扉を開けた瞬間

香水の匂いが

一気に突き抜けた。



中に入り、

男が扉を閉めたと同時に


「え?きゃっ!?」

何の前触れも、言葉もなく


ベッドへと押し倒されている。



そして、押し倒された私の上に
覆いかぶさるように

男の顔があり・・・・


こんな体制で、こんな顔が近くで


もう、私の心臓は飛び出してしまうんじゃないかというくらい


激しい鼓動になってしまい


じっと目を見つめられている

この状況は


今の私には

幸せであるけれど

ドキドキしすぎて

変になってしまいそうだ。