「ごめん、亜子。
私・・・・帰る・・・」


「え?な、いきなり何で!?」


「用事思い出した。
ごめんね」


そう言うと

向きを変え

一気に走った。

走って、走って・・・

息もできないくらい

大通りを駆け抜けた。



自動販売機の横に

うずくまるように

そのまま座り

顔をうずめながら

今、見た光景が

頭から離れない。




あの男が・・・・女と歩いてた。

見間違いなんかじゃない。



連絡・・・こないの

忙しいとか、何かあったとか

どうしても連絡できない状況なんだと

自分で信じ込もうとしてたのは

こういう現実を考えたくなかったから。


けれど、そんな現実を

自分の目で見てしまえば、


連絡はできるけど、しなかっただけ。


そう・・・認めざるおえない。