「木崎、悪かったなー
寒かったろ?」


「あぁ・・先生。
おかえり」


「何だ?どうかしたのか?」


「何が?」


「いや、元気ないみたいだから」


「別に。待ちくたびれただけ」


「そんなイヤミ言うなよ~
好きなもん食わしてやっから。な?」


「あー、うん・・・」


「木崎?」


ベンチから立ち上がろうとしない私に
不思議そうに
私の顔を覗きこむ先生。


「ごめん、私
ちょっと用事思い出した。
から・・・今度でいい?」


「は?へ!?」


何が何だか理解できない先生に


「また、今度。すいません!」


勢い良く立ち上がり
大きく頭を下げると
振り返りもせず
そのまま、駅を走り抜けた。