そして、


一目だけ見たい。

そんな気持ちに勝てず
行ってしまった事を
後悔したのは
その直後の事だった。


大輔の店が見え始め、

心臓がドクドクと脈打つ中

私の目に飛び込んできたのは

一人の女性が店の横に座り

大輔が、その女性に
優しく笑いかけ

店を閉める姿だった。


そして、そのまま・・・

女性の荷物を持ち

2人は肩を並べ・・・

人の流れに沿うように歩いて

私の前から消えて行った。


何かを期待してたわけじゃない。


ただ、大輔の姿が見れれば・・・


そう思ってただけのはずなのに、


今の私は・・・


ショックなのか分からない感情が渦巻き


ただ、立ち尽くしてしまってる。



そう、別に期待してたわけじゃない。


けれど・・・


私が大輔の前からいなくなっても

大輔にとっては

何も変わらない、どうって事ない存在なんだと突きつけられたようで

全身の力が抜けていくような
脱力感、そして
喪失感が大きく私の心に圧し掛かった。