けれど、そんな時間は
一本の電話で
簡単に崩れ去ってしまった。

遡る事10分前。


美味しそうに食べてくれる大輔と向かい合い
自然と顔が緩み
こんな時間が過ごせるという事がうれしくて

こういう時間があるなら・・・

私は、それだけで
いいような気すらしてきて・・・



けれど・・・

そんな中、大輔の携帯が鳴り

イスから立ち上がると、


リビングのソファーに投げてあった携帯を手に取り、画面の名前を確認しながら


「カナか?どうした?」


そう言いながら

ソファーに座り込み話し始めた。


一人、食卓に残された私は

ただ、少しずつ口に運ぶしかなく・・・


思わず、耳を傾け

大輔の会話を聞いてしまっている。



「は?あぁ、マモルの事か。
へぇ、カナも会ったのか?
ははは、だな。相変わらず
ど派手な髪してたなー

あぁ、さっき帰ってきて
今、めし食ってたとこ。
誰って聞かれても
カナが知らねぇ奴だから
説明しても分かんねぇだろ?

んー・・・まぁ、一緒に暮らしてるし。
あぁ、そういや言うの忘れてたな。
ははは、いや案外楽しいぞ。
は?今からか?
あー・・・・」


そう気まずそうに頭を掻きながら
私の方を見ている。