「はい、フロントです」

少し若そうな女性の声が耳元に響く。


「あの・・・お金って・・」


「506号室のお客様ですね。
料金の方は、先に帰られたお連れ様が
お支払い済みでございます。
7時までの料金をいただいておりますので
ごゆっくりとお過ごし下さいませ」



「はい・・・どうも・・・」



払ってくれてた・・・・


よ、良かったぁ・・・


一気に緊張が解け

その場に座り込んだ。


って・・・

やっぱり、あの男
先に帰ったのか・・・


いくら意識が落ちてたって・・・


普通、先に帰る?


後々、面倒だとか思ったら

そりゃ、そうかもしれないけど・・・


何か・・・・


目が覚めた時の

寂しさとか・・・・

少しは考えてくれてもいいじゃんか・・・


失恋して・・・

やり逃げされて・・・


散々な日だ・・・。