これで兄ちゃんと付き合ってるとか言ってみろ。


もも、発狂するんじゃないかな…?


…想像できるのが嫌だ。


水道へ行って、水を飲む。


生温い不味い水に顔をしかめながら、一口、二口…


飲んでいると


「お兄さんと付き合えばいーのに~!」


ももがいきなりそんなことを言うから


「ぶっはッ!!!!!」


俺は口に含んでいた水を思いっきり吹いた。


ももしか居なくてよかった…。


服の裾で口元を拭きながら平常心を取り戻す。


落ち着け、俺。


ももは確信を持って言った訳じゃない…


「えっ、付き合ってるの?!?!」


「ぇ、はぁ?!?!?!」


「いつから?!いつからなの?!?!?」


あぁぁあぁぁ…


なんでこーなるんだよ!!!?


俺は何も言ってないのに…!!


ももの暴走は止まらない。


どこから出したのか、メモ帳とシャーペンまで手に持って問い詰めてくる。


これはヤバイ…。


水道のとこに追い詰められて、俺には逃げ場がない。


どーすればいい?!


てか、顔ちかっ…!!


こんなとこ見られたら、確実に誤解される!


困り果てていたその時


バァン!!!!!


と体育館のドアが開けられて、


体育教師が血相を変えて立っていた。


「お前らうるさ………何やってんだー!!!!!!!!!」


鼓膜が破れると思うくらいの大声で怒鳴られて、俺はももを無理矢理離す。


「いやっ、先生!これは…」


「授業中に、そっ、そんな…行為をするとは何事だ!!!」


そんなってなんだよ!!?!


なにもしてないだろ?!?


絶対勘違いしてるだろ、先生!


俺の話を聞けよ!!


ももは黙ってメモ帳とシャーペンを背中の後ろへ隠す。


「放課後、1時間会議室で正座してろ!!!」


はぁ?!?!?!


嘘だろ~…


ももだけならともかく、なんで俺まで…


反論を許されることなく、結局正座決定。


「じぃ~っくり話聞くから♪」


…もう、最悪。




正座しながら、俺はももに昨日の出来事を全て話す羽目になった。


…脅されたんだからな?


仕方なく、詳しく分かりやすいようにというももの希望通りに、1時間かけて説明した。