「また、きてしまった」
―――――――保健室。
落ち着く、ここ
女子校に入ってからあたし
天海 輝里(あまみ きり)は時々不安定になる
ようになって泣きそうになることがぼちぼち

クラスで泣くのもあれだから
こうしてここに来てる。

「輝里きてたのか!」
保健室に常連の私に保健室の先生も慣れている
そして女子校なのに保健室の先生は男
顔立ちも、いいから人気はあるんだけど
あたしも結構タイプ、でも
好きとかって感情は生まれない

「あのね、先生、涙が出てきちゃうの」

「そっかあ〜」
ぽんぽん、と頭を撫でてくる
先生の匂いは少し甘い、いい香り
「お前はまた、頑張りすぎちゃったな、
よく頑張ってるよ、偉い、偉い」
優しい笑みが私に向けられる

ほんとこの人彼女いないのかな
先生はいないの一点張りだし。
そういえばあたしも
彼氏いないな
四ヶ月前くらいに振られていらい
男とは縁がない
まあ、紹介してとかはあるけど
上手くいかないのが女子校の住人の常識

今までの人達は大好きだったけど
弱い気持ちとか不安定な事は
一生懸命隠してきた
『結婚しような』
何言ってんの、って思いつつ
笑顔で頷いて、結局振るんだもん
なんなのよ、男って
そういう人以外で会ったことあるのは
先生くらいかな

いないのかな、あたしの全てを
話せる人って。