部屋に戻ると、 坂口さんの身体が小刻みに震えていた。 「うわっ… 寒いやんなっっ ちょっとまって!」 クローゼットの中を漁って ブランケットを取り出す。 そのブランケットを身体が包まるように 坂口さんの肩に掛けた。 すると、 ずっと遠くを見るようだった目が… 俺を捕らえた。 哀しそうな 辛そうな 弱々しい表情で 低い位置から俺を見つめる。 「っ……」 俺は その壊れそうな身体を 震える腕でそっと抱き締めた。