階段を駆け下り、人影の見えた方へ走る。 「はぁ…っはぁ…」 やっぱり坂口さんや… ベンチに座る坂口さんは 雨で全身ビショビショだった。 急いで坂口さんに傘をさす。 「…なんで傘さしてないんっ」 「…」 声をかけても全く反応がない。 瞬き一つしない目は光を失ったようで、 雨に濡れて分らないが 泣いているようにも見える。