それから、何を話すでもなくゆっくりとした時間が過ぎていった。




チャイムが鳴って、微かに生徒たちの騒ぐ声が聞こえてくる。


大きく息をついたとき、
突然清水君が立ち上がった。



「よし」

「…?」


「来週の体育祭、
俺、坂口さんのために頑張るから」


…え?


「俺が出る競技、全部優勝する」


アタシの正面に立った清水君は、
すごく真剣な顔をしていた。



「そしたら…ホンマに全部勝てたら、
坂口さんのこと下の名前で呼ぶから」


え…?



「…何で?」

「呼びたいから」

「っ…理由になってないよ」


「嘘。
ホンマは…」