【優side】





誰もいない。


何にもない。




聞こえてくるのは、自然の音と
アタシの胸の音だけ。





孤独の世界に、誰かの足音がゆっくりと少しずつ近づいてくる。

その音はすぐ近くで消えて、
優しくて柔らかい声色に変わった。





「…やっと見つけた」




顔を上げると、その声の持ち主がアタシに眩しすぎる笑顔を向けていた。


彼は…
アタシを探していたのだろうか。