「でも、俺…昨日見つけてん」
「…え?」
「坂口さん、校舎の裏にある非常階段に一人で座っとってん。
授業中やし、誰もおらんから俺が近づいたらすぐに気づかれたけど」
「…何か話した?」
「うん。
でも、ケンカっていうか…
坂口さん怒らせちゃった」
清水君は、気持ちを落ち着かせるように大きく息を吐いた。
「1年前のこと、知ってんのに…俺アホやから踏み込みすぎたみたいやわ」
こんなに哀しそうに笑う清水君は初めて見た。
清水君の優しさに、優だって気づいているはずなのに…
晃のため…?
私のため…?
ずっと側にいて一番近くで見てきたのに、今の私には優が何を思っているのかわからないよ…