少しだけ分けてもらった荷物を持って
サッカー部の部室に向かう途中、

先生がこっちを見ていることに
気がついた。


「?」

目が合って、首を傾げると
優しい眼差しの先生が私に尋ねた。


「松田さん、大丈夫?」


「全然大丈夫です。
先生が軽いものを渡してくれたから」

「いや、そうじゃなくて…」

「?」



「さっき、松田さんの表情が少し曇っているように見えたから」


「っ…」




また、だ。


先生はどうしてこうも私の心を見透かしてしまうんだろう。



「そんなことないです、、

そんなことないけど…」


真剣な先生の瞳に嘘がつけなくなって、言葉を詰まらせる。