「先生…」
顔を見ただけで、沈みかけた心が少しずつ和らいでいく。
「松田さん、今日は一人?」
「はい。
優はもう帰っちゃってたみたいだから」
「そっか」
ジャージ姿の先生は、
今からクラブで使うであろう荷物を抱えきれないほど持っていた。
コレ、いつも一人で運んでるのかな…
そう考えたら、
いても立ってもいられなくなった。
「先生。私、お手伝いします」
「え?」
「どうせ暇なので」
ガッツポーズで微笑むと、
先生がフッと頬を緩ませる。
「じゃあ、甘えちゃおうかな」
その笑顔を見て思った。
手伝うとか偉そうなことを言ったけど、本当はもう少し一緒にいたくて。
何より、先生の喜ぶ顔が見たかっただけなのかもしれないと。