彼女が清水君のことで泣きそうになっているのを見てしまったあの時。


ーー『…先生?
本が……きゃっ…』


俺は気持ちを抑えきれなくて…
肩を震わせる彼女に触れてしまった。


そのあと見せたほんのり頬を染める彼女の表情を思い出して、
俺はまた深くため息をついた。



「…ダメなんだよ、

これ以上近づいたら……」



そう呟いたとき。




ーガラガラガラッッ


教室のドアが勢いよく開いた。




「先生!!
遅すぎだよ」


「え」


そこに立っていたのは、顔をしかめたサッカー部のキャプテンだった。