ーーそれからだった。
彼女のことを目で追うようになったのは。
授業中も、休み時間も、彼女のことが気になって気になって仕方なくて…
彼女の笑顔を見るたび、切なくて胸が苦しくなる。
俺は、生徒である彼女に
完全に心を奪われてしまった。
「…教師、失格だな」
自分で呟いた言葉に、ため息をつく。
誰かにそう叱って欲しいのかもしれない。
だけど叱られてもきっと止めることはできない、なんて考えてる自分が情けなくて
誰もいない教室で一人、力なく笑った。
誰にも気づかれないように
特別になってしまわないように
想いを隠して接してきた。
…はずだった。