だけど、微かに震える彼女の唇が俺の胸をさらに締め付けた。



トンッ トンッ トン トントン.....


静寂の中、無意識に落としてしまったボールの音が響く。




『…先生…?』



気づいたら、俺は彼女の腕を掴んでいた。




『…………』


自分で引き止めたのに、かける言葉が見つからず、ただ彼女の真っ直ぐな目を見つめていた。





少しの沈黙の後、
俺の気持ちを察したように彼女は言った。


『先生…私は大丈夫です』


その瞳が、
友人を思う彼女の気持ちが、
あまりにも美しすぎて

俺はゆっくりと
手に込めていた力を緩めた。


そして、走り去っていく彼女の背中を、見えなくなるまで見つめていた。



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