ふと坂口さんを見てみると、
「…」
外を眺める瞳が
遠くの方を見つめていた。
「…?」
どこ見てるんやろ。
なんかとんでもなく遠くのどこかを
見てるみたい…
気になって坂口さんの見つめる方向を
見ていると、先生が俺に声を掛けた。
「清水君。初日だけど授業には
集中してもらわないと困るわよ」
「へ」
驚いて裏返った声で返事をすると、
みんなが吹き出した。
「清水君、何やってんの〜」
「これからが楽しみだね」
みんなの笑う声に、恥ずかしくなって頭を掻いていると、先生が呆れたように言った。
「もう。
それじゃあ、次の文章を読んでくれる?」
「…はい」
アカンわ。
隣が気になって
授業に集中できそうにない。