ボールを拾い、戻ろうとしたが
少しだけ開いた校舎の窓から、微かな音が漏れているのに気づいて足を止めた。


『ーー…っ』



…誰かいる?

ココは確か、図書室の窓だ。



こんな時間に図書室に人がいることなんて滅多にない。
気になった俺は、拾ったボールを持ったまま図書室へ向かった。



ドアを少しだけ開け、そっと中を覗く。

辺りを見回し、目に止まった光景に


『…!?』



胸の奥がグッと締め付けられた。





そこには、図書室の隅に小さくなって



『…っ…う……』


声を殺して泣く、松田さんがいた。