「家の人心配してるやろうし帰ろっか。」
清水君が立ち上がる。
「またアイツらに会ったら困るから
家まで送るわ」
「はい」と私の前に手を出す。
素直にそっと手を重ねると、
グッと引っ張って立ち上がらせてくれた。
握られた手、自然と近くなる距離に
また胸が騒ぎ出す。
「ありがとう」
「いーえ」
あ…
「清水君…顔、血が出てる。
手当しなくちゃっ」
「ん?大丈夫やって。
ちょっと切れてるだけやし」
「でもっ」
「大丈夫。
俺、意外とケンカ強いねん」
舌を出して悪戯な笑顔を見せる。
その笑顔につられて私も笑った。