「…その喋り方、
芸人でも目指してるの?」
「え?…ちゃうちゃう!
俺、大阪から来てん。
関西ではみんなこんな喋り方やで」
彼は照れたように笑った。
「…ふーん」
「あ。お昼食べた?」
「…まだ」
「やんな。だって寝てたもん。
食べるものあるん?」
「…あー。
そういえば何も持って来てないかも」
「俺のパンあげよか?
2つあるし」
初対面の人にパンまでくれるんだ。
「アタシ、愛子のとこ行かなきゃ。
大丈夫。ありがとう」
関西人って案外優しいんだね。
「…坂口」
「え?」
「アタシの名前、
坂口優(サカグチユウ)」
「…坂口さんか。
よろしくな、坂口さん」
彼は嬉しそうに笑った。
その悪戯っぽい笑顔が
どことなくあの人に似ていた。