「アキのオフェンスをしている所は初めて見たけど、驚異だなこりゃ。」


泰二と同じく、俺も漸く溜め息が漏れた。


「そんな他人事で良いのか夏目?身長とポジションを考えれば、アキのディフェンスに付くのは夏目だぜ。」


…鉄め、嫌な事を思い出させやがって。


「[REEF]のセンターだってかなりのもんだぞ鉄。ほら。」


悪戯な笑みを浮かべた泰二の言葉を受け、俺も鉄の顔からコートへ視線を移す。


相手チームのガードがシュートを放つと、ゴール下でポジション取りを行っている。


リングに弾かれたボールは、無精髭を生やした[REEF]のセンターの頭上へ落ちた。


「あれはシュートの弾道から、バックボードとリングの跳ね返り方まで計算して動いてるぞ。頑張れよ鉄。」


唇をわなわなと震わせる鉄は、それを見て楽しそうな笑顔を浮かべる泰二の顔を、片手で頭を掴んでコートへと固定した。


無精髭からのボールを貰い、アウトラインへ出たドレットは、身長差を全く気にせずにゴール下へ突っ込んでいく。