「リバースのバックダンクだけでも十分だけど、その前の抜き去り方見たか?」


溜め息混じりの泰二が、慎重に言葉を発した。


ドレッドからのパスを受け、完全に身体を停止させてから、僅かに左肩を下げる。


それを察知して右に動いたディフェンスを、逆の右ドライブで抜き去った。


「あぁ。」


どうしても一歩遅れてしまうディフェンスが、肩を並べようと先読みした裏を突いたのだ。


難しいフェイントなど使わず、一歩目の爆発力だけでディフェンスを置いていく。


僅かな変化で先読みしたディフェンスもレベルは高いが、それでもアキには到底及ばない。


「それよりも、あの細い身体の何処からあんなパワーが出るんだよ。弾き飛ばされたセンターなんて、俺よりもデカいんだぞ。」


溜め息混じりの泰二とは違い、興奮混じりの鉄が口を開いた。


「さぁな。直接聞いて来いよ。」


「そんな格好悪い事が出来るか!」


…本当に行ってこいとは誰も言ってねぇっての。