-翌日-

「ん…」

朝、私は太陽の光で目を覚ました

「今日…オフか…」気付くと、どう帰って来たかすら記憶がなく、どうやらソファーで寝ていたらしく体が痛い…

同時に明希を待っていた自分に気付く

本当は"明希に触らないで"と言いたかった

いつの間にか「私の夢…」について考えてる自分がいて…

"有名になる"

でも同時に犠牲になる物が多くて

「これが私の欲しかったものなのかな…?」

でも…

私はそんな器用じゃない…
"恋"も"仕事"も大事でそんな事を考えていた時…

~♪~♪~

携帯が鳴った

私は、携帯を取り耳に当て「はい…」と返事をした


明希が「来瞳?」と言ったけど私は、昨日の打ち上げで明希と美嘉に言った言葉を思い出し、苦しくなって「明希…」と不安げな声で言った

明希が何もなかったかの様に「なんでそんな暗いん?(笑)」と明るく聞いてきた
私は、そんな明希に「逆に聞く…なぜそんなに明るい?(笑)」と言った

まだ朝7時なのに…

電話口から聞こえてくる愛しい人の声

「えっ…あぁ…仕事で朝早いんや」と明希が答えたから私は、「そうなの?」と返事をした

聞きたい…

あの後どうしたのか聞きたいのに…

けどこんな時ですら意地っ張りな私は、明希に昨日、どうしたのか聞けるハズもなく…

「来瞳、明日から俺ツアーやから」と言う声がして「言ってたね…頑張って…」としか返事が出来なかった…
明希がそんな私の気持ちを知ってか知らずか「 明希は俺の事、気にならへんの?」と聞いてきた

明希の声が今日は悲しく聞こえる

「気になるって?」と私が訊くと私の気持ちを知る由もない明希が真面目に「いつも、訊かへんやん?普通女はどこに行ってたとか何してたとか訊くもんちゃうの?」と言うから私は、「訊いて欲しいの?信用してたら訊かないもんでしょ?」と言った

違う…
ほんとは気になるの…
信じていても好き過ぎて気になるの…

すると「そっか… 来瞳らしい答えやな(笑)じゃ、行ってくるわ!最終日は見に来てや!」と言ったので私が「わかった…じゃね」と返事をすると電話が切れた
「素直じゃないな…私…」と呟き、私はまたソファーへ寝転ぶ

最終日は2ヶ月半後か…

それまで仕事が埋まっている

「歌詞…考えないと…」と呟き、私は立ち上がり、曲を作るため部屋へ閉じこもった

-2ヶ月半後-

今日は明希のlive最終日

武道館に来た

関係者席に行くと蓮くんも来ていて私に気付いた蓮くんが「 明希~♪」と話し掛けてきた

私は、「久々だね♪」と言うと蓮くんは、「 来瞳がすっかり有名になって構ってくれないから…」と泣き真似をした

「あっ…」と呟き、私は同じ関係者席に美嘉が座ってるのを見て少し胸が痛かった…

あんなに嫌がってたのに結局呼んだのかよ(笑)と私は、心の中で突っ込み、「アホらし…」とひとり呟いた

そんな私を見て「なんかこの前の打ち上げであの女、調子に乗ってるみたいで…明希さんも明希さんだよね…大丈夫?」と蓮くんが気遣ってくれたけど私は、明希への不安な気持ちを蓮くんに悟られたくなくて「あっ…うん…大丈夫だよ(笑)」と笑ってゴマかした

美嘉からの視線がこっちに向いてるのを痛い程、感じていると会場が暗くなり、明希達の映像が流れた

やっと憧れの明希に会えた時を思い出す

まさか付き合うなんて思ってもいなかったな…

そして歓声と共に明希が現れ次々と歌っていく

-MC-
明希が喋り出す

「どうもCasissです!いや~武道館最終日やってきました!」


横で「ふぅ~!」と言いながらノリノリの蓮くん(笑)

「皆、今日はエッチィ声出してな♪俺はいっぱい出すから!あっそうそう!今日は最終日なもんで明希ファミリーが見に来てるんで!」と楽しそうな明希

ファン達は"キャー"と言いながら私達を見た

「蓮がめっちゃノリノリで手振ってるから笑いこらえんの大変やし!」と明希が蓮くんにツッコミを入れるとすかさず「チラチラ視界に入るし!(笑)」と突っ込む瑠依さん(笑)
「ちなみに、今日は歌姫も来てるからね♪メンバー皆、ファンなもんで呼びました」と明希が言うと客席にいるファンのみんながこっちを向いて『キャー! 来瞳ー!』と歓声が上がる

その歓声に応える様に私は、みんなに手を振った

「お前ら俺らの時と声が違うやんけ!(笑)」と客席に突っ込む明希

yukiyaさんは「人気が比べもんにならんからね~」と関心している

「出会った時はこ~んな小さかったのにでかくなったもんやな!」と明希は、指で私を現す

そんな小さい訳ねーわ!(笑)とすかさず心の中でツッコミを入れる私