-数日後-

「あー!あと1曲が出来ん!」と呟く俺

スタジオで歌入れの合間に曲を作る日々

一息つこうと自販機へ行き、コーヒーを買った

近くにあった椅子に座ろうとした時…

近くに居た女の子が「明希…」と俺の名前を呼んだ

俺は、聞き慣れないその声にビックリして「へ…?」と言いそのコは、「久しぶりだね…」と言った

振り向いた先に立っていた女性、その人は…

そのコが「やっと会えた…」と俺に言った

俺は、そのコに懐かしさを覚え「美雨…?」と問い掛けた

突然、目の前に現れた女性
それは俺がかつて愛した女性だった…

「なんで…ココに…」と俺が聞いた

すると美雨は、「私も歌入れがあって…帰る途中で明希を見掛けたから…」と言った

俺が「そっか…久しぶりやな…」と言うと美雨は、「4年振りくらい…?」と言い俺は、「うん…多分、それくらいちゃうか?」と言ったが久しぶり過ぎて、会話が続かない

それが堪えきれず…俺は、「ほな…俺は、行くわ」と言って立ち去ろうとした

すると美雨が「待って!あのコレ…」と言い俺が「なんや?」と言って振り返ると彼女は俺に紙を手渡す

「私の連絡先!良かったら連絡して!それじゃ…」と美雨は、そう言って去っていく

その紙を俺は、見つめた

彼女も同じアーティストでBlack Butterfly当時から仲が良かった

それがいつの間にかお互いの気持ちが"恋"に変わり、付き合う事になった

でも数年が経った時、馴れ合いとすれ違いが続き、俺が浮気した事が原因で別れを告げられた

失った時に彼女の大切さに気付き、数年間忘れられなかった

そんな情けない過去

明希と出会った事で封印されていたが…

俺は、「今更やな…」とそう呟き、貰った連絡先をゴミ箱へ捨てた

その後も曲を作っては却下され、息詰まっていた

そんな俺を見たマネージャーが「明希さん、まだ時間あるんで少し休みましょう!」と言い心配して2日間休みをくれた

その言葉に俺は、「せやな…家にも帰れてないし、休みもらおうかな?」と言うとマネージャーが「来瞳さんも待ってますよ!」と言い俺は、「あっ…忘れてた(笑)」と慌てた

するとマネージャーが「怒られますよ(笑)」と言うから俺は、「怖い事言うなや…」とマネージャーに言い返した

こうして俺は、数週間振りに来瞳が待つ家に帰宅した
玄関を開けて俺が「帰ったで~!」と言うと来瞳が「おかえり!久しぶりだね(笑)」と言い笑顔で俺を出迎えた

その笑顔に安心して来瞳を抱き締めた

そんな俺の行動にビックリした来瞳が「ビックリした…どうしたの?」と俺に訊いてくる

俺は、「あ~生き返るわ~!」と言うと来瞳が「なにそれ(笑)」と言い2人で笑い合った

そして俺は、ソファーへ座り来瞳がコーヒーを差し出した

その横に来瞳も座る

来瞳が俺の顔を覗き込んで「上手くいかないの?」と訊いてきた
俺は、その言葉に「えっ?」と思わず言った

すると来瞳が「顔が疲れてるよ?」と言い俺は、そんな来瞳に「なんでもお見通しか…また俺の顔がやつれてしまう…(笑)」と言って苦笑いを浮かべると来瞳が「まぁ深くは聞かないけどね!何か食べる?」と俺に気を使って言ってきた

俺は、来瞳に「悪いな…」とそう言って明希は、キッチンへ向い俺は、テレビの電源を入れた

するとテレビの中の司会が『今夜のゲストは、美雨さんです!』と言った

俺は、無意識に「あっ…」と声を漏らした

画面に美雨が映る

この間の再会した事を思い出した

するとキッチンから来瞳が不思議そうに俺に向かって「どうしたの?何かあった?」と訊いてくる

俺は、来瞳に悟られない様に何もなかったフリをして「別に何もあらへんで!」と言った

もちろん、来瞳は、彼女との過去は知らない

言えるはずがない…

だって…

皮肉にも来瞳と彼女は、同じ事務所だから…

でも、同じ事務所でもまだ、会っていない

俺と別れた後、海外へ行き、数年は戻らないと聞いていた

するとテレビから『ずっと海外にいらしたんですか?』と言う司会の声が聞こえ、美雨が「はい!勉強のために海外行って最近、帰ってきました!』と答えた

画面に映る彼女の笑顔は、何も変わってはいなかった…

見た目は、来瞳とは正反対で、いわゆる"守ってやりたくなる女"

そんな彼女との過去を思い出していた