【来瞳 視点】
とうとうツアーファイナルを迎えた
いつも明希は、どんなに忙しくても見に来てくれていた
でも今日は居ない…
自分から突き放したのに心と頭には、明希が居る…
今頃、美嘉を抱いてるんだろうか…
そんな事を考えているとマネージャーが「大丈夫?」と言った
私は、思わず「えっ…」と返事をするとマネージャーが「ずっと笑ってないわね…」と言ってきたから私は、悟られたくなくて咄嗟に「そうかな?笑ってるよ!」とゴマかした
そんな私にマネージャーは、「……そう」と言った
私は、「急にどうしたの?」とマネージャーに言うと…
開演時間になり「そろそろお願いします!」とスタッフが呼びに来た
私は、それに「はい…」と答えるとマネージャーが「………」無言になった
スタンバイをしていると会場が暗くなり、歓声が聞こえる中、曲が流れる
『キャー! 来瞳ー!』と言う客席のファンからの歓声
そして私は精一杯、歌う
今日も私の大好きなファン達の笑顔が此処にある
でも1つ足りないの…
お金でもない
地位でもない
ただ1つ…
-MC-
「えー、皆元気ー?」と私が言うと客席に居るファンのみんなが「元気ー!!」と答える
「早いもので最終日です!何気に初めての武道館です!ほんとに今日は幸せです!」と私が言うと客席からの「おめでとー!」の声
「なんか夢みたい(笑)まさか自分がここにいるのが…」と私は言い、会場を見渡す
ふと関係者席を見た
「えっ…」と私は、思わず声に出してしまい会場がざわつく
その瞬間、私は心に決めた
「あのね、この場所はね…ある人が私に夢をくれた場所なんです。その人のliveを初めてここで見ていつか"こんなボーカリストになりたい"と思ったの…」と話し出し、私は、彼を見つめる
「その後、何度かliveに行って出待ちをした時、その人と会うことができて握手してもらったの…その時"約束"した事があって…それはね…」と私は、そこまで言うと言葉が詰まった
客席に居るファンのみんなが「頑張れー!」と私を励ましてくれる
「ありがとう…その人は覚えてるかわからないけど…"いつか大きくなって会いに行きます"って約束したの…」と私は、言った
彼は思い出したのかビックリしていた
私は、「でも…足りないの…夢が叶ったのに…皆がいるのに…足りない…」と言うと私の頬から涙が伝った
「どんなに大きくなっても…欲しい物が全て手に入っても…周りだけが変わっていくだけで…その人がいないと…」と私が言うと会場がざわついた
「ごめんね、皆…聞いて欲しい…」と私が言うと会場が静かになった
「その人は今ここに居ます…私の大切な人…好きで好きで…たまらない…貴方がいないと…意味がない…」と言った瞬間、スタッフとマネージャーが私を止めに入り、ステージの袖へ連れて行く
そんな私にマネージャーが「しっかりしなさい!仕事なのよ!?プライベートを持ち込んでどうするの!」と怒鳴った
私は、消え入りそうな声で「…く…な…い…」とマネージャーに反論した
するとマネージャーが「えっ…」と訊き返してきた
私は、必死に「好きな…人の…側に…居れないのなら…仕事なんて…したくない…」とマネージャーに言った
ざわついていた会場が静かになる
「あっ…マイク…」とマネージャーが呟いた
それがマイクに通っていた
スタッフが慌ててマイクの電源を落とす
そして次の瞬間、私の視界が真っ暗になった
でも私にはそれが何かわかった…
私の変わらない景色に足りないもの…
私が欲しくてたまらないもの
それは…
「来瞳…ごめん…」と言い小さく肩を震わせる愛しい人…
「約束…守ってくれてありがとう…気付かんくて…ごめん…ごめん…」彼は、そう何度も呟く
私は、「ウッ…ウウウ…」嬉しさの余り、泣きじゃくり、涙が溢れる
「俺は…俺だけが来瞳を好きやと思ってた…いつも来瞳は、冷静で…気持ちの温度差を感じて俺の事、気にしてないと思ってた …」と明希が言った
私は、「ウッ…明希…」と声にならない声を上げた
「来瞳の気持ちに気付けんくてごめん…こんな俺を許して…」と言い彼は、抱き締める腕に力を入れる
スタッフやマネージャーが周りにいるのにも関わらず、明希は、こう言った…
「来瞳…好きやで…」と…
「ウッ…ウウウ…yasu…yasu…」と私は呟き、私も力いっぱい彼を抱き締める
「キャー!」と言う客席からの声
思わず、ふたりして「えっ…」と声を漏らす
私達はliveだという事を忘れていた…
でも、もう自分の気持ちを隠したくない…
私は、「アッ…ハハハ(笑)」と急に笑い出した
「ウワッ~俺めっちゃダサイやん…」と明希が言った
「明希…」と私が呼ぶと明希は、「ん?」と返事をしたから「ここまでこれたのは、明希のおかげ…私に夢をくれてありがとう…」と明希に言い私は、再びステージへ立って歌った
こうして最終日は、幕を閉じた
とうとうツアーファイナルを迎えた
いつも明希は、どんなに忙しくても見に来てくれていた
でも今日は居ない…
自分から突き放したのに心と頭には、明希が居る…
今頃、美嘉を抱いてるんだろうか…
そんな事を考えているとマネージャーが「大丈夫?」と言った
私は、思わず「えっ…」と返事をするとマネージャーが「ずっと笑ってないわね…」と言ってきたから私は、悟られたくなくて咄嗟に「そうかな?笑ってるよ!」とゴマかした
そんな私にマネージャーは、「……そう」と言った
私は、「急にどうしたの?」とマネージャーに言うと…
開演時間になり「そろそろお願いします!」とスタッフが呼びに来た
私は、それに「はい…」と答えるとマネージャーが「………」無言になった
スタンバイをしていると会場が暗くなり、歓声が聞こえる中、曲が流れる
『キャー! 来瞳ー!』と言う客席のファンからの歓声
そして私は精一杯、歌う
今日も私の大好きなファン達の笑顔が此処にある
でも1つ足りないの…
お金でもない
地位でもない
ただ1つ…
-MC-
「えー、皆元気ー?」と私が言うと客席に居るファンのみんなが「元気ー!!」と答える
「早いもので最終日です!何気に初めての武道館です!ほんとに今日は幸せです!」と私が言うと客席からの「おめでとー!」の声
「なんか夢みたい(笑)まさか自分がここにいるのが…」と私は言い、会場を見渡す
ふと関係者席を見た
「えっ…」と私は、思わず声に出してしまい会場がざわつく
その瞬間、私は心に決めた
「あのね、この場所はね…ある人が私に夢をくれた場所なんです。その人のliveを初めてここで見ていつか"こんなボーカリストになりたい"と思ったの…」と話し出し、私は、彼を見つめる
「その後、何度かliveに行って出待ちをした時、その人と会うことができて握手してもらったの…その時"約束"した事があって…それはね…」と私は、そこまで言うと言葉が詰まった
客席に居るファンのみんなが「頑張れー!」と私を励ましてくれる
「ありがとう…その人は覚えてるかわからないけど…"いつか大きくなって会いに行きます"って約束したの…」と私は、言った
彼は思い出したのかビックリしていた
私は、「でも…足りないの…夢が叶ったのに…皆がいるのに…足りない…」と言うと私の頬から涙が伝った
「どんなに大きくなっても…欲しい物が全て手に入っても…周りだけが変わっていくだけで…その人がいないと…」と私が言うと会場がざわついた
「ごめんね、皆…聞いて欲しい…」と私が言うと会場が静かになった
「その人は今ここに居ます…私の大切な人…好きで好きで…たまらない…貴方がいないと…意味がない…」と言った瞬間、スタッフとマネージャーが私を止めに入り、ステージの袖へ連れて行く
そんな私にマネージャーが「しっかりしなさい!仕事なのよ!?プライベートを持ち込んでどうするの!」と怒鳴った
私は、消え入りそうな声で「…く…な…い…」とマネージャーに反論した
するとマネージャーが「えっ…」と訊き返してきた
私は、必死に「好きな…人の…側に…居れないのなら…仕事なんて…したくない…」とマネージャーに言った
ざわついていた会場が静かになる
「あっ…マイク…」とマネージャーが呟いた
それがマイクに通っていた
スタッフが慌ててマイクの電源を落とす
そして次の瞬間、私の視界が真っ暗になった
でも私にはそれが何かわかった…
私の変わらない景色に足りないもの…
私が欲しくてたまらないもの
それは…
「来瞳…ごめん…」と言い小さく肩を震わせる愛しい人…
「約束…守ってくれてありがとう…気付かんくて…ごめん…ごめん…」彼は、そう何度も呟く
私は、「ウッ…ウウウ…」嬉しさの余り、泣きじゃくり、涙が溢れる
「俺は…俺だけが来瞳を好きやと思ってた…いつも来瞳は、冷静で…気持ちの温度差を感じて俺の事、気にしてないと思ってた …」と明希が言った
私は、「ウッ…明希…」と声にならない声を上げた
「来瞳の気持ちに気付けんくてごめん…こんな俺を許して…」と言い彼は、抱き締める腕に力を入れる
スタッフやマネージャーが周りにいるのにも関わらず、明希は、こう言った…
「来瞳…好きやで…」と…
「ウッ…ウウウ…yasu…yasu…」と私は呟き、私も力いっぱい彼を抱き締める
「キャー!」と言う客席からの声
思わず、ふたりして「えっ…」と声を漏らす
私達はliveだという事を忘れていた…
でも、もう自分の気持ちを隠したくない…
私は、「アッ…ハハハ(笑)」と急に笑い出した
「ウワッ~俺めっちゃダサイやん…」と明希が言った
「明希…」と私が呼ぶと明希は、「ん?」と返事をしたから「ここまでこれたのは、明希のおかげ…私に夢をくれてありがとう…」と明希に言い私は、再びステージへ立って歌った
こうして最終日は、幕を閉じた