「あー、もうぜんっぜん地学わからんくて無理ー。」


「あ、え、地学だったっけ!俺 超得意よ。」


「え〜うっそーん。じゃあ 教えてよ。」


「いいよー。同じクラスだし 昼休みとか梶井祐斗のSpecial地学講座やってやんよ。」


「ネーミングセンスなっっ。」


「黙れや。」


2人でだらだらと会話をしていると
一際冷たい風がホームを吹き抜けた。


「ううっさむっっ。」


「わっ篠田 耳真っ赤じゃんよー。」



耳に柔らかいものが触れたと同時に
風の音が聞こえなくなる。




「……耳当て?」


「しときなよ。」


「ええっ でも梶井が寒いじゃん!」


自分の耳から耳当てをとって
梶井の耳にはめる。


「…お前さ、こういう時は男にかっこつけさせろってば。」


梶井はまた私の耳にはめ直した。



「……ありがと。」



……そういえば、梶井ってモテるんだっけ。


花もなぎも推してたな。



たしかに顔もかっこいいし、気も使えるし。



「ちょい、見過ぎ。」


「おわっ!すまんすまん!」



うっかりガン見しすぎたわい。



「……あ、ポラリス。」



「……ん?」



「ほら、あそこ。」



「ええ?どれ?」



「あの、真ん中らへんで 1番光ってる星。」



「ああ、あれか!」



「北極星だよ。」



「あれ?さっき、もっと変なこと言ってなかった?ポリリズムみたいな。」



「ああ、ポラリスね。なんだよポリリズムってお前。」



「あはは、そう、それそれ!」



「日本語だと北極星。北極星は地球からみると動かないから不動の星とも言われてる。ちなみに星座はこぐま座。」



「おおっなるほど!!すごいね!梶井!博士みたい!」



「だろー?てか、篠田ってホーム待つとき 空見ないの?」



「……え?」




ああ、たしかに。



わたし、足元ばっか見てたかも。





そっか、こんなに空って綺麗なんだ。






「見てなかった。でも、もったいなかったね!こんなに星 たくさんだったのに。」



「電車くるまで、星座教えてあげよっか?」




「うん!梶井博士 よろしく!!」