それから、綾場さんの事が気になって、時間があれば綾場さん宅を訪れる様になっていた。


その度に、


――――ピン......☆


綺麗な、透明感のあるピアノの音が聞こえた。


「あんなに綺麗に弾けるのに、何で嫌いなんて言うんだろう......」


そして、インターホンを押すと、ふっと音が消え、


「......またアンタ?」


と綾場さんが出てきた。


それで何か話そうとすると、バタンとドアを閉められる。


それがいつものパターンだった。