住所に従って、あたしは夕方の道で足を進めていた。


「えっと......この辺りの筈なんだけど......」


道の真ん中できょろきょろしていると。


――――ポロン......♪


......え?


「ピアノの音......」


――――ポロリン......ピン......♪


そのメロディーは、儚く美しく、夕方の静かな路地に響いていた。


しばしその音に聞き入る。