「あたしは、どうせならやりたい事やらないで後悔するより、やって後悔したい。


いつか後悔した時、それをお母さんのせいにしたくない」


そう言うとお母さんは、ふぅ、と溜息をついた。


しばらく沈黙が流れる。


......やっぱ、ダメなのかな......。


そう思ってうつむくと、足の方にそっと影が伸びた。


前を見ると、お母さんがギターを差し出していた。


「へ......」


「やりたい事だけじゃなくて、ちゃんとやるべきことはするのよ。決まりは守って。校則で『バンド活動は禁ずる』ってあったわよね?」


小さく頷くと、お母さんは優しく笑って、




「なら、バンドは許さないけど、ギターを弾くのは許すわ。......もう、アンタを、おじいちゃんと重ねるのはやめる」