叫んだ途端、お母さんは足を止めた。


「......あたしね、今日、知り合いの子と合奏したの。ギターとドラムとボーカルで。


今まで、良い進路に進む事は良い事だと思ってたし、ギターやるとお母さんが悲しい顔するから出来るだけ我慢してた。


......だけど、今日弾いてみて分かったの。


あたし、ギターをやりたい。やめたくない。」


――――あたしの気持ちを、伝えた。


お母さんは振り返ると、そっと壁にギターを立て掛けた。


「やりたい事ばかりやってると、いつか後悔するわよ。おじいちゃんみたいに」


お母さんの眼は、あたしの眼をしっかりと捕えていた。


初めてちゃんと、真剣にあたしの眼を見てくれた。